伝統継承の夏!

35922764_1025665570916331_7418129228589170688_n

千駄ヶ谷駅を降りて東京体育館に向かって歩いていると大きな大男が走り寄って来た。190cm130㎏はあろうか?直ぐに誰だか分かった。世界大会にも出場したロシアナショナルチームの強豪選手エルゲ-イ・アンドリューシコ選手だった。ドリーム参戦のため道場生を引率しての来日だった。交差点脇で数年振りの再会をしばし喜び合った。

一道場生ではあるが、彼と親しくなったのは3年前のロシア・ハバロフスクで開催されたKWU世界大会の時からである。第11回世界大会の年、同じ10月。他団体(KWU)が主催する世界大会に新極真会が初めて参戦した大会だった。緑代表や副代表、日本選手団を現地で全面的にサポートしてくれたのは新極真会ロシア支部だった。ロジア支部内の全支部長が集結した。ロシアの国代表のユーリー・シャバノフ師範自らが車を運転するなど、緑代表以下役員の滞在中の全てのサポートをしてくれた。選手団の世話をしてくれたのが、実はアンドリューシコ選手だったのである。ホテルと会場の移動は勿論のこと、大会前日の調整も道場を提供してくれた。選手達が大会当日に必要な水や氷などが買いたいと言うと、二つ返事でスーパーマーケットまで連れて行ってくれた。その世界大会で日本選手団を中心とする新極真会は大勝利した。新極真会が世界最強であることをあらためて実証した瞬間だった。第12回世界大会を1か月後に控え、その日本代表選手以外で選抜した選手で臨んだ大会だったが、日本選手団の強さは群を抜いた。

あの大勝利の陰には、シャバノフ師範や道場生のアンドリューシコ選手をはじめ、ロジア支部の全面的サポートがあったのである。ましてや海外で、他団体の主催する大会である。大会の舞台以外でも戦いがあった。新極真会は全てに勝った。表彰式の後日本選手団だけではなく、ロシア支部もリトアニア支部も、新極真会の全ての支部で記念写真を撮った。世界大会では有り得ない光景だったが、新極真会の絆を痛切に感じた。彼にお土産を貰ったので、とっさにポケットに秘かに忍ばせていたラインスタンプの『伝統継承シール!』をお返しにプレゼントした(笑)。

2年に一度の国際大会となった今年のドリームフェスティバル。型と組手述べ参加選手は3000名を超えた。試合場は12コートで行われた。フルコンタクト空手界最大規模の大会となった。幼年からシニアまで、今は団体型もある。親子兄弟で出場することも出来る。まさに夢の舞台である。この舞台でさえ陰で支えてくれる人の存在を忘れてはならない。世界一の大会を開催できる世界最強の事務局があることを忘れてはならない。全ては組織、新極真会の力である。そして組織を応援してくれる多くの方々の存在あってこそである。勿論、道場生・会員あっての組織である。

道場生達は開会式で舞台に立った時、何を思ったのだろうか!戦い終えて?その舞台で戦う子供達を見てご父兄の皆さんは何を思ったのだろうか?

自分には知る由もない。しかし、明日からの道場の姿で分かる。1年後の大会に向けてどう歩むか?出ただけで満足するのか!日本一を決する大会に本気で勝ちに行くか!本人次第である。組織に対する思いも同じである。あの舞台に立った時、或いはあの会場で何を思ったか?それが答えでもある。

そしてもうひとつ大事なことがある。

結果なしに次のステップには進めない。そしてたとえ負けたとしても終わりではない。むしろ始まりである。

表彰式の後、トロフィーを持った選手が何人も挨拶に来てくれた。3月のU-22強化合宿で4日間寝食を共にし厳しい稽古に耐え抜いた若き選手達だった。優勝報告あり!決勝で負けたくやしさ!全日本大会への思い!正直彼らの大会結果よりも挨拶に来てくれた事自体が嬉しかった。彼ら全員、間違いな世界大会を目指している。彼らの時代に繋ぐためにも日本選手団は王座を守らねばならない。何人かの選手には、はっきり“世界大会頼むぞ!”と檄を飛ばした。

挨拶に来た選手の中に少年部時代は学校で喧嘩ばかりする問題児の例の少年がいた。中学生になった。ドリーム3位、初入賞。相変わらず無口だった。お母さんと一緒だったが、思わず「もう喧嘩してないか?」と言ったら笑ってた。

“塚本師範に感謝しろよ!晃輔、入賞おめでとう!”

2年振りに写真を撮った。

初日深夜、同級生からメールが来た。

高校3年の時、同じクラスメートだった友人が今は塚本道場門下生となった。ドリーム初挑戦、56歳にして夢の舞台に立った。残念ながら試合は見れなかった。二人出場のワンマッチ、たった1回勝てば優勝だったが負けた。メールの内容は・・・

3年前の8月、自分に誘われて初めてドリームを見た(らしい)。記憶では早稲田大学に行った。色々あったようである。当たり前である。色々な事があるのが人生だから。その場で自分に訊ねたらしい。

『空手を始めようと思うけど何処の道場がいいかなあ?』

自分はこう答えた(らしい)。

『新極真以外するな!多少遠くても塚本道場にしろよ!』

正直入門のいきさつを全然覚えていなかった。偶然入門したものだと思い込んでいた。最後にこう結んでいた。

『新極真会で良かったよ。今日の負けを糧にまた頑張るよ!ありがとう!』

空手だけではない。仕事も、全てに頑張り切るとの熱い決意だった。新極真会という組織の一員になれたことに誇りも持ってくれていたことが何より嬉しかった。自分はこう返信した。

『負けたけど心意気に感動したよ。俺の方こそ頑張るよ。世界大会に向けて気合い入ったよ!またいついでも道場に来てな。お疲れ様。』

もう新たな戦いが始まっている。この二日間の経験を、思いを決して無駄にしてはいけない。次に生かしてこその夢の舞台である。

「奥村師範、今回のドリームをひと言でお願いします!」って会場で訊ねられなかったが(笑)、ひと言で言うと・・・

“桃太郎クラスを作って本当に良かった。”