不屈の精神!

191011_2042~01

弟啓治(師範)が病に倒れてから8年になる。長期に渡る湯布院でのリハビリを経て、今の施設に入所した。5年経ってはじめて施設に行った。山々に囲まれた川沿いの田んぼの中に施設はあった。職員の方は明るく話し易い親切な方ばかりだった。

啓治のためだけの帰郷ではなかったがそれはそれは大変な喜びようだった。恒例のお土産を貰った。いよいよ1か月後に迫った世界大会。日本選手団のために渾身の思いで描いた魂の龍画・・・ではなくて、初めて「鷹」の画を貰った。実はそのお土産の画を忘れて帰ってしまった。ホテルで気が付いた。翌日は施設に行く予定はなかった。啓治とも一日だけの予定だった。啓治はひとりでは外出することが出来ない。ホテルまで施設の人が鷹の色紙をわざわざ届けてくれた。

翌日、母の病院に行った。気持ち良さそうに眠っていた。入院してから気持ちが動揺し夜眠れない日が続いているとのことだった。もう一日あるので起こさないで病院を後にした。電車とタクシーでの移動に田舎の不便さを感じた。行橋駅前は再開発で景色が一変した。昔よく行った駅前の焼き鳥屋はなかった。高校時代よく行った駅前のパチンコ店もなかった。昔はイスなどなかった。電動ではなく、一発一発打った。夜はホテルでコンビニ弁当。千葉と変わらなかった(笑)。

足もなく、何もすることがないので予定はしていなかったが、啓治の施設に行った。アイスクリームをお土産に買って突然行った。「ウォー!ウォー!」と驚き喜んでくれた。話をする間もなく、机の前に座らされた。色紙を出された。記念に何か書けと言われた。よっぽど嬉しかったのだろう。それから兄弟ふたりの書道教室が始まった。

部屋中足の踏み場もない位に、壁の隙間もない位に龍画や色紙、写真、掛け軸だらけだった。緑代表とのツーショット写真が目に付いた。師を慕う啓治の思いがひしひしと伝わった。書をしながらゆっくり二人だけでいたせいもあろう。初日には感じなかったある感情で心で泣けた。正直可愛そうだが、母は来る時が来たという思いしかなかった。啓治が趣味の書に芽生えて生き甲斐を感じて今一生懸命生きている。右半身不随ではあるが今は元気一杯生きている。自分よりも元気なくらいである。

一生こうして此処で生きて行くんだと思うと虚しい気持ちになった。自分は気が向いた時だけ書をするだけである。ただの趣味でしかない。啓治は毎日である。しかし毎日をを、それこそ一日一日を懸命に生きている。啓治と会う度に龍画や色紙を貰う。今回も世界大会必勝の魂の色紙画を貰った。実は、自分も今回初めて啓治にプレゼントを渡した。それも龍の掛け軸を!昨年の3月に陽孝と欣大の愛弟子二人を連れて初めて中国上海に行った。観光地豫園で買った龍画の掛け軸だった。虎と龍で対で。安かったので衝動買いした(笑)。

啓治の施設での姿を見ていて友の言葉を思い出した。

 “一日一生!”

今年は今まで起きないような事が連続で起きた。正直、人生で一番辛い夏だったかもしれない。しかし、啓治の姿に救われた。施設の部屋でエネルギーを貰った。それは何ものにも負けない・・・“不屈の精神!”だった。

大山総裁は仰せである。

・・・孝を原点として

・・・機に発し感に敏なること。克己の精神を涵養すること。事に臨んで過たざること。

そして・・・こうも仰せである。

私たちは人間の力が及ばない自然や宇宙の摂理を重んじ、神や仏を敬い、相手のことを大切にし自分を謙遜する態度を忘れてはならない。

自然に感謝こそすれ、自分の力不足を自然のせいにしてはいけいない。無事を祈るばかりである。

決戦の日まであと29日!

17歳夏。啓治、行け行けや~!