亀が勝った日!

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兎と亀が山の頂上まで競争した。有名な昔話である。

普通に走れば足の速い兎がのろまな亀に負ける訳がない。しかし、色々な事が起きるのが世の常である。身の回りも。自分の心の中さえも。予想に反して、この昔話はのろまな亀が勝つ話である。

兎は丘の上のゴール近くで余裕があったので居眠りをした。目が覚めたら亀が先にゴールしていた。兎は自分の能力を過信した。のろまな亀を軽んじ、大差がついたので安心して居眠りをしてしまった。その間に抜かれてしまった。負けた兎は、競争相手の亀だけを見ていた。自分の能力を過信し油断して一番大事なゴール(目標)を見ていなかったのである。結果、負けた。

勝った亀は、ゴールだけをただひたすら見ていた。兎が相手ではなく、自分自身が相手だった。自分と戦って自分に勝った。いわゆる己に克ったのである。いつも通りの姿でゴールを目指し目標を忘れなかったのである。結果、勝った。

那須家が道場を訪れた日の事をよく覚えている。我が家の娘達と同じ幼稚園だったらしい。翔太ほどぶきっちょな道場生は見たことがない。しかし、翔太ほど寡黙で努力家の道場生も見たことがない。入門以来、稽古日数は毎年一番である。

世界大会男女W優勝の年を飾るに相応しい感動の昇段審査会となった。

黒帯に挑戦した翔太だけではない。世界大会日本代表選手として夢の舞台に立った翔希も。親子鷹で黒帯取得し全日本選手となり、来春大学を卒業する欣大も。親御さんには大変失礼だが、皆亀である。少年部時代の姿を見る限り、正直に言えば能力に秀でた兎ではない。努力!努力で掴んだ黒帯や世界・全日本の舞台である。

たかだか黒帯を取った位で強くなったと思ってはいけない。たかだか全日本大会や世界大会に出た位で強くなったと思ってはいけない。それらは全てひとりでは決して成し得ることさえ出来ない。

亀は亀である。兎のようになったと思えても兎ではない。亀は兎にはなれない。亀の姿勢を決して忘れてはならない。強くなったような気がする「選手クラス」でばかり稽古してたら勘違いする。スポーツクラブや週1回だけの体育館で稽古したら分かる。ぶきっちょな亀さん達を指導したら分かる。大会を目指していない道場生を指導したら分かる。黒帯になった位で慢心したり、大会で優勝した位で天狗になったり、恩を忘れてしまったら、敗北の道が待っている。

勿論、自分も亀である。亀は万年と言うが、もう先の短い老いぼれ亀である(笑)。我々、亀の道場生には道しるべがある。

大山総裁の創られた道場訓であり。座右銘である。これを肝に銘じて精進する限り夢を掴むことが出来る。

そして、もうひとつ昇段審査で感じたこと。

先輩に胸を借りて黒帯を目指し戦う後輩の姿に。一緒に汗を流した後輩達の挑戦を受けながら昇段を目指す先輩の姿に・・・“伝統継承!”を感じた。

今日は亀が勝った!