黒帯は茶帯(時代)で決まる!

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今日、翔太が書初めの「書」を持って来た。

「翔太、何て書いた?」

「押忍!黒帯です。」

昨年に続き冬合宿で書初め大会を行った。小学校では3年生で習字を始めるらしい。習字をしたこともない分支部の2年生達も初めて習字にチャレンジした。参加者全員が思い思いの言葉や字を書に著わしていた。書に臨む姿勢も道場の姿と同じだなあと思った。同じ人間がやる事だから!色々な意味で有意義な時間となった。これからも書初め大会は続けて行こうと思った次第である。

そんな中で帯はまだ届いてないが、昨年念願の初段・黒帯になった翔太は書初め大会で“黒帯”と書いた。当たり前の事とは言え、よほど嬉しかったのだろう。決して上手な字とは言えないが何度も何度も黒帯と書いていた。それこそ心魂込めて黒帯と書いていた。

高校3年生、18歳で黒帯になった。高校生で全日本大会にも出場した。1年前には、世界大会の日本代表選手候補合宿にも参加した。自分の入門が19歳であることを考えれば凄い経験ばかりである。念願の黒帯になる。夢にまで見た黒帯を締める日は近い。翔太がどんな黒帯になるか?今から楽しみである。

一度黒帯を締めたら、もう茶帯に戻ることはない。

自分にも同じように黒帯を目指し稽古に励んだ茶帯時代があった。夢を追って血と汗にまみれ修行に励んだ茶帯時代があったからこそ黒帯を締めることが出来た。正月早々の事、ある道場生との会話がきっかけで茶帯時代の懐かしい写真が載ってる写真集が蔵の中から出てきた(笑)。常設道場を構えて以来初めて書棚の奥から出したかもしれない。その写真集に懐かしい秘蔵の写真が載っていた。

入門して2年4か月、21歳の時に初めて出場した第15回全日本大会の1回戦の試合の写真である。勿論、茶帯だった。

初出場した第15回大会は、翌年の第3回世界大会の日本代表選手の選抜戦でもあった。当時は二次選抜も三次選抜もなかった。世界大会の選抜戦ではあったが、自分にとっては世界大会など全く関係なく、初出場の嬉しさで無我夢中で戦っただけだった。しかし、敢えて言うならば、世界大会選抜戦だったからこそ、その後は本気で世界を目指す契機にもなった。この全日本大会出場は自分で勝ち取ったものだった。その年の支部内の’全日本選抜戦の大会で準優勝したからこそ出場権を得ることが出来た。

現役時代、入門以来ずっと書いてた【道場日記】・・・

1983.09.01 師範より

『全日本に出すかもしれない。休まずにガンバレ。まだ組手なんか早い。パワー空手だから。今は基礎体力をつけろ。動かない止まったサンドバッグなんか突いても意味がない。基本稽古は必ずやること。そしてパワー!体力をつけろ。拳立て600回、スクワット(騎馬立ち)600回、腹筋500回、バーベル100回、上段回し蹴り10分(左右5分)。負けても仕方ないが、やるだけのことはやれ!何もしないで負けたらどうなる。』

「2か月間死ぬ気でやるしかない。押忍」

あの写真集は、第3回世界大会を記念して発刊されたものである。大山総裁の尊敬する宮本武蔵の著書「五輪書」のに准えて地・水・火・風・空の5パートに分かれ総裁の修業時代を中心に全日本大会の歴史などを紹介した一大写真だった。だから前年の全日本大会も取り上げられていた。自分の記憶では、大会会場で分支部の黒帯の先輩が「奥村の写真が載ってるぞー!」と言われて、多分会場で買って帰ったような気がする。

空手バカ一代に憧れて、ただただ極真空手がやりたくて上京。いつの日か大山総裁に名前を覚えられたい。いつの日かゴッドハンド“神の手!と謳われた手で”握手をして貰いたい。そのためにも全日本の舞台に立ちたい。との一心で稽古してたように思う。その夢が叶った大会だった。

奇跡かな?4回戦まで行った。

【道場日記】1983.11.14(大会翌日)

今日より来年に向けて稽古。師範、支部長会議より帰られる。

『よくやったぞ!館長もほめてたぞ。本当はお前に敢闘賞やりたかったけど。やっぱり三瓶(選手)の4連覇阻止の・・・。でもよくやったぞ!』

「押忍!ありがとうございます。」

『おごることなくガンバレ!高品、白石(先輩)に勝つまで続けろ。』

「押忍!」

極真空手に入門することが夢だった。いつの頃からかその夢が膨らみ、全日本、世界へと繋がって行った。あまりに厳し過ぎるほどの師範だった。あまりに己と稽古に厳しいほどの強い先輩が道場にいた。

名匠が名刀を打つが如く

熱い炉に入れた鉄自体が熱くならなければ刀は出来ない。冷めた鉄をどんな名匠が打っても名刀にはならない。反対に、たとえ鉄が熱くても打ち間違えたら名刀にはならない。未熟な刀鍛冶が打っても名刀はできない。

熱い心で修行する者に熱い指導を!

それでも勝てるどうか?勝負の世界は厳しい。黒帯になってからが本当の修業である。それは間違いない。しかし、その黒帯になる直前の茶帯時代の苦しい修行こそが大事なのである。結果も然りであるが、稽古姿勢が。

どんな黒帯になるか?それは、どんな茶帯になるかで決まる。黒帯は茶帯時代の修業で半分決まる(自分はそう思う)。

黒は、どんな色にも染まらない信念の色である!

36年前、定価4,700円で英訳版と2冊も買っていた(笑)。